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森吉山、冬の終盤に

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※表題「終盤に」という表現はあくまで『暦上』でのことで
森吉山は積雪がある期間は完全なる冬山期間です!お間違えのないように。


2月25日~26日、ゴンドラと避難小屋利用として一泊行程で森吉山(標高1454m)に登ってきました。
今回は長野・関西の山岳シーン~メディア関連と多方面で活躍しております4名が山スキーで
秋田からは白神フォレストガイズの私とKさんが県外からいらした方々に対して
冬山でのガイディング及びルートファインディングの研鑽を兼ねてで、足はカンジキ。
合計6名のパーティーの形式です。

9:00に阿仁スキー場に集合。
道中はボタ雪が降り、遠景の森吉の山並は濃ガス~鈍重な雲に覆われて
天気予報も前夜の報せではあまり好感触でない感じの気圧配置…
ただ、予報でとあるキーパーソン的部分の数値と観天望気からCLである私の責任で
本日は無理せず、行ける所までとし、阿仁避難小屋界隈で改めて現地状況を
踏まえて森吉避難小屋で沈殿するか下山するかを判断ということで山行することとしました。
※現在発売中の「山と渓谷」でも遭難の緊急特集を組まれている山です!
登山届は絶対に提出です。お忘れなく!


悪天候のお陰で、あまり来客がないようでゴンドラは待ち時間無く乗ることができました。
植林杉の景色から標高が上がるにつれて樹相はブナ林となります。
それに伴い舞っていた雪は徐々に密度が濃くなり、30分揺られること頂上駅に着く頃には
駅舎の輪郭が判らない程の濃ガス。
他の5名は状況に最初、やや躊躇も見られましたが
係員の話だと、最初の樹氷域を過ぎての石森までの間は公としての長竹の太いポール設置がされており
また、我々の先に2パーティーの先行者のトレースもあって
(※決してトレース盗人の目論見ではありません!またこのブログの後日にて公のポール設置が
継続されているか否かは当方は知りませんので、そこら全て責任は当方持ちません)

で、先ずは石森まで行くことに。

石森までの間、視野はあっても精々10~15m。時折10mにも満たなかったりと。
石森手前の雪庇尾根は平坦でなく北谷へと傾斜がキツく(例年だと平坦)
雪が少ないのか?風が強かったのか?小一時間程で石森山頂に至りました。
石森から森吉避難小屋までは誰も往来してません。
ここからは持参したマーキングポールを刺しながら、取り敢えず森吉避難小屋を目指します。
30分程で至り、小屋で休憩と泊まり装備をデポ。
それぞれ必要装備のみをザックに詰め直したり、サブザックに詰め替えたりしつつ天候判断待ち。

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南風が強く、風向が変わってくれたら望みはある…40分程小屋に停滞の後
取り敢えずは阿仁避難小屋までは行きましょうと決め出発。

また石森に至り、そこからは樹氷が閑散な雪原丘陵を行きます。
ノントレースの無垢な所を、定点ではなく雪波ギャップ目当てでマーキングポールを刺します。
不謹慎な話、ベアリングするよりも、もうここは身に入っている部分が大きいので
(過信慢心は絶対にありません。要所でコンパスで確認もしております)
傾斜での転ぶ・滑ってしまう等を懸念での障害物的なマーキングですので
あまりにも疎らで、ルートとしてはアテにならないのは明白。
他の登山者にしたら「?」な刺し方と思われたかと。

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雪原丘陵を過ぎ、樹氷が段々に賑やかになってくる辺りで風速が一気に加速します
あとは風向きがもう、ひと越え変わって欲しいと願いつつも
辺りの景色が段々に輪郭や起伏を帯びてきます

そして11:00くらいでしょうか、頬を叩いていた風が、一気に背中を突き上げます!

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来たっ♪

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時間にして本当に数分(一瞬にも感じられた)で濃ガスは一気に吹き飛ばされ、眼前に
樹氷群を従えた森吉山が、その姿をようやく現わしてくれました!

みんな一斉に歓喜の声を上げます♪山が見えたら、もう歩調は軽快そのもの♪

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中には青空を独り占めしようとこんなメンバーまで!

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阿仁避難小屋には正午頃に着。積雪量、山は平年並でホッとしました。
ここで立ちながらの軽めで補給食を摂りました。

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上空は雲は抜けているのですが、低い所と隣接の山系は雪雲に覆われたり晴れたりで不安定。
ただ風向が一定なので充分に頂上往来は可能として、今度は山頂を目指すことに。

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一ノ越稜、カッコイイです!

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樹氷が疎らに背丈も低くなると足元はクラスト混じりに。時折ジャケットにバチバチと破片がぶつかります

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山麓俯瞰から遠く男鹿半島から日本海までも見えました。
本日は後続で登られてくる人も少なく、景色を撮影するにはうってつけのタイミング
そして13:00に山頂に到着しました(あまりにも強風であんまり写真はなし)
長居はせずに、スキー組はシールを剥がしドロップアウトの準備。
こばさんのヘルメットにはGoProが装着されております!
連瀬沢の全体像を俯瞰しルーファイ、各自GPSも携行しております。ビーコンチェックもOK
「それではいってきます~!」と言った瞬間、スキー組はあっと言う間にモンスターの群れの中に
姿を消していきました♪

われわれワカン組はポールの回収もありますので来た道を戻ります

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雪原丘陵に至る辺りで風向が変わり、鈍重な雲が出てきて
石森に至るは14:00。あっという間に、さっきの空の青みは何処へやら…

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連瀬沢より4人、もう森吉避難小屋に至る姿、ハイクアップ最中の姿を確認し
そして、山に目を向けると…

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天気が持ってくれた安堵と共に、やはり冬山は恐ろしいということを改めて実感
みんな小屋に入る頃には、山の神が見てくれていたかの如く、猛烈な吹雪とゼロ視野
小屋の中で、達成感と安堵の笑いと共に、もう晴れ回復も無いから夕景も撮れないだろうと
早々に沈殿準備です(笑)

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皆さんへのおもてなしは、もちろん秋田の地酒!
長野のMさんのお土産であちらの山ヤならではの銘酒「大雪渓」も登場!
そして肴はいぶりガッコにチーズを挟んだり、Bさんは山飯としての携行や食味に最高と予感させる「葱餅」
Kさん持参のササカマ等…で乾杯
今回の山行でもっとも秋田組としては期待しておりました、山岳大国「長野」の山の実情(特にシカやイノシシ
ライチョウを襲来するサル等の獣害の実例)や山に対しての取り組み等、参考になる話から
Bさんの楽しい山の裏話(これはここでは詳しく書けないのですが山を嗜んでいる全国の方なら必ずや
目にしたことがある筈)を聞けたりと。
MTさんは全国津々浦々の山を巡り登っているので東北のマニアックな山にも造形が深かったり。
こばさんの山ヤの歌までとご機嫌♪

晩の山飯は秋田名物キリタンポで温まりつつ、炭水化物をしっかりと摂ってもらいます♪
キリタンポに当然ながら入るセリの根に秋田組とMさん以外はカルチャーショック!(Mさんは2年前に洗礼を受けております)
しかし、みんな恐る恐る食べてみて納得(?)セリ根の虜になってもらいました♪

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外は暴風。小屋の中も氷点下12℃ですが、そうも寒さを感じずで
歓談しながらも、やはりは皆さん遠路からの運転~登山にアルコールですから19:30には
シュラフに潜り込んだかと思いきや、それぞれ寝息を立ててました。
自分はスマホで明日の配置図予報をチェック。空は良さげになる感じなんだけど
明日はまた山頂を目指し各々で斜面で遊ぶか?長野組は河岸を変えて鳥海山に移動するか?
考えているうちに、時折窓を激しく叩く音が遠ざかるような感じでまどろんでおりました。

翌朝5:30に起床
昨夜の風は何処へやら?なような静かさは納得な無風…ですが
濃霧によるゼロ視野の完全にホワイトアウト
ただ上空の色身の明るさでは天気は揚がる感じはすれど、風が欲しい…
各々、朝食を摂りながら、話し合いの結果、小屋を出るまでに晴れそうになければ
早々に下山し移動することに。
ギアの撤収と小屋掃除等で、8:00になれどガスはおろか待望の風も無く
下山を決定。

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準備万端で小屋の前で最後の記念撮影

昨日、石森から小屋に至る内に25mくらいの感覚でマーキングを打ち込んでおいて良かった♪
肉眼では2本ポールが見えておりましたが、帰りの視野はこんな状況

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強風でこのようなギャップも発達して乗っ越すのが一苦労(汗)

ただ密にポールを刺してたので何も悩まずに石森まで15分、あとはKさん作成のベアリング図を頼りに
歩くこと30分程でゲレンデからの音楽が聞こえてきたかと思いきや拍子抜けに山頂駅に到着…

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樹氷平のモンスターの様子

ゴンドラ運行前に到着してしまったので、颯爽とゲレンデを降りるスキー組を見送り
9:00に運行開始したゴンドラに秋田組も乗り、麓駅に無事到着
受付事務所に下山報告をして、笑顔にて森吉登山を終えることができました。

下山の後は打当温泉マタギの湯で温まり、長野組は鳥海山に向けて
我々は帰宅ということで、今度は夏、秋田・長野の山で会いましょうと約束を交わしました。

大きな山からやってきた皆さんから学び、楽しさを得たことが今回もたくさんありました
本当にありがとう!

追 記

3月2日週刊ヤマケイに今回の山行の様子が掲載されました
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コメント

お世話になりました

今回は初の森吉山、濃いガスの中的確にルーファイして頂きありがとうございます。
地元の方の有り難さを身に染みて感じました。
今回のお返しはきっと長野にて・・と思いますので、是非遠征してきてください。
白神も一度は訪れてみたい山です。

Re: お世話になりました

こばさん、いえいえです!
僕たちも今回は皆さんの姿勢、意識など得られたことが沢山あり
感謝しております!
夏、秋、是非ともお互いの山、登りましょう!!


> 今回は初の森吉山、濃いガスの中的確にルーファイして頂きありがとうございます。
> 地元の方の有り難さを身に染みて感じました。
> 今回のお返しはきっと長野にて・・と思いますので、是非遠征してきてください。
> 白神も一度は訪れてみたい山です。

お世話になりました

お世話になりました^^
おかげさまで思い描いていたよりも素晴らしい景色を
見ることが出来て感動しました。
全てがよいタイミングでしたね。
ありがとうございました!

Re: お世話になりました

雨飾さんは持ってますから♪
鈍重な空でも、樹氷の雰囲気がグッと引き締まりますよね!
今度は花時期の山、ご一緒しましょう!

> お世話になりました^^
> おかげさまで思い描いていたよりも素晴らしい景色を
> 見ることが出来て感動しました。
> 全てがよいタイミングでしたね。
> ありがとうございました!

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プロフィール

佐藤 浩二

Author:佐藤 浩二
公益社団法人日本山岳ガイド協会 
職能別資格:登山ガイドSt.Ⅱ取得
認定団体「白神フォレストガイズ」所属
(遭難対策担当)

「Mountain pilot 森・沢山」として
この春より秋田県をはじめとする東北~東日本を主とした登山ガイドを展開いたします。


ローカライズとしては
世界遺産「白神山地」その秋田県側となる
藤里町秋田白神ガイド協会に所属
白神山地のガイドの傍ら世界遺産地域の巡視活動に携わっております。

白神山地…この名前は一度は耳にしたことがあるかと思います。
原生より今、この瞬間まで、脈々と息づいてきた純然な森がそこにはあります。
そしてその森が育む、空気、水、生き物、山の幸、美しい光景や自然現象
このブログでは少しでも、自然豊かな森の魅力を発信できたらと思い開設致しました。

そして白神以外にも、プライベートとして
北東北~東日本の主要山系から沢、岩場、雪山も歩いております。
森の魅力と同時に、山の楽しさも一緒に伝えられたら幸いです。

https://www.facebook.com/beechmori/
「Mountain pilot 森・沢山」
も併せて是非、ご覧下されば幸いです。